IRカジノ法案が可決されてからよく見かけるようになった「ギャンブル依存症」というキーワード。
単に自分がオンラインカジノ情報をよく調べるようになったからってのもあるんでしょうけど、あまり縁がない言葉でした。
そんな中で2018年7月6日に「ギャンブル依存症対策基本法」が成立。
(同年7月20日にはIR整備法(カジノ法案)も成立してます)
これはいったいどんな基本法なのか?
そこで「ギャンブル依存症対策基本法」について解説していきます。
また、ギャンブル依存症の症状や治療法もまとめました。
ギャンブル依存症対策基本法とはどんなもの?
ギャンブル依存症対策基本法とは、その名のとおりギャンブル依存症への対策が定められている法律です。
ギャンブル依存症対策基本法では、次のように第1~4章に分かれています↓
- 第一章 総則(第一条―第十一条)
- 第二章 ギャンブル等依存症対策推進基本計画等(第十二条・第十三条)
- 第三章 基本的施策(第十四条―第二十三条)
- 第四章 ギャンブル等依存症対策推進本部(第二十四条―第三十六条)
- 附則
駄目だとわかっていても賭けごとをしてしまう、やめられないのは「ギャンブル依存症」という立派な病気です。
1970年代にWHOにおいて「病的賭博」と名称づけられ正式に病気認定されています。
割と最近普及し始めたオンラインカジノでも、すでにそういった症状を訴えている人がいるようです。
ギャンブル自体は「丁半」などがちょんまげ結ってる時代からありますし、もっと大昔からあるもの。
中国では4000年前から楽しまれている、なんて記述も見かけます。
そして、きっと当時から依存症になっていた人はいたのでしょう。
それが現代でも社会的に問題となっています。
とくに、カジノ誘致が目下進行中の日本ではギャンブル依存症への注目度も上がっていて、具体的な対策が必要っていう雰囲気は感じられますね。
ふと思い返してみると、いとこの父親がパチンコばっかりやって家族は大変そうだったんですが、これもギャンブル依存症だったのかもしれない。
まあ個人的な話はいいとして、そういった社会の流れもあってか政府は「ギャンブル依存症対策基本法」を成立させました。
ギャンブル依存症対策基本法の目的とは?
ギャンブル依存症対策基本法の目的は、
「ギャンブル依存症に苦しむ人を対象に日常生活や社会生活に支障をきたす状態を解決すること」
です。
この法律が成立するまでには、いわゆるパチンコを中心とした多重債務や貧困、子供の虐待に自殺、そして犯罪が度々問題になってきた経緯もあります。
これらの問題に対処する為に、基本理念を定めた上で、具体的なギャンブル依存症対策を計画して実施する、それがギャンブル依存症対策基本法の目的です。
国民の健全な生活を確保し安心して暮らせるように、国や地方公共団体などが協力して、ギャンブル依存の対策を図っていくものですね。
なおこの法律によって「ギャンブル等依存症対策推進本部」も設置されていて、法律の施行と対応を引き受けています。
ギャンブル等依存症対策推進本部ホームページ↓
ギャンブル依存症対策基本法の対象者は?
ギャンブル依存症対策基本法における定義では、
「法律が定める公営競技や射幸行為を提供する遊戯施設において、のめり込んで日常生活に支障をきたしている人」
を指します。
また、内容的にはギャンブル依存症の発症者に対し、進行の度合いに応じて対策を講じたり、再発防止といった対策を行うことを定めています。
依存症患者本人だけでなく家族も対象で、日常生活や社会生活が円滑に営めるように、その支援を行うことも目的です。
ギャンブル依存症患者の状況により対応機関は違う
当然ですが、多重債務や貧困は金融機関、虐待や自死は自治体や医療機関、犯罪は警察、と対応する施設は異なります。
そのため、横の繋がりを強化する連携に関する取り決めもこの法律に盛り込まれています。
法律のルールとそれによって決められた方策に基づき、ギャンブル依存症患者とその家族を包括的に支援するのがポイントです。
ギャンブル依存症になる前の防止策も盛り込まれている
ギャンブル依存症は未然に防ぐことが何よりも重要です。
リスクがあるとわかっているものについても対策が求められます。
「じゃあギャンブル自体を失くせばいいんじゃないの?」とも思いますが、ないならないで国民の不満のはけ口となる娯楽が減ってしまいますし、国や自治体の税収も減るため都合が悪いのでしょう。
大人の事情ってやつですね。
で、ギャンブル依存症対策基本法では、馬券の購入を想起させる表現を始めとして、高額的中を期待させる表現、射幸心を煽る内容が既存のギャンブルにおいて指摘されています。
もちろん、これからサービス提供が始まるカジノも例外ではありません。
このブログでも私が遊んでいるオンラインカジノを「ええで~♪」と紹介していますが、宣伝広告や演出などに制限が掛けられていったら紹介できなくなるかもしれませんね。
将来このブログが消えていたらお察しください。
関連性のあるアルコール依存症対策も盛り込まれている
ギャンブル依存症はアルコール依存症と密接な関係があるので、アルコール健康障害対策との調和も盛り込まれています。
ギャンブル依存症対策基本法が成立した背景について
IR整備法(カジノ法案)の成立日からしても、カジノ誘致に合わせて作られたことは明白なこの法律。
カジノ法案には批判の声も出ているので、日本社会や地域住民の理解を得る目的もあるでしょうね。
とはいえ大事なのは具体的な対策や効果なので、法律の有効性が評価されるのはこれからです。
が、政府が力を入れているので期待してる人もいるでしょう。
定期的に法案の見直し期間も設けられている
ギャンブル依存症対策基本法には3年を目安に見直しの期間を設けられていて、必要があると判断されれば法改正が行われます。
この法案ではギャンブル依存症の周知徹底や問題の啓発など、社会の協力を呼び掛けて来たるカジノ提供の日に備えています。
日本にとっては大きな挑戦や変革ともいえるので、法律の有効性は未知数ですし、そもそもある程度の効果が認められないと困ります。
ギャンブル施設の経営者だけでなく、国や自治体に国民も巻き込む法律なので、それだけ政府の本気度が窺えるでしょう。
つづいてギャンブル依存症の症状や治療法について紹介していきます。
「私ひょっとしてギャンブル依存症かも?」「家族に症状がみられる」など身近に関係している方は参考にしてください。
ギャンブル依存症の症状について
自分の人生や家族・関わる人に大きな悪影響がでるとわかっているのにギャンブルへの衝動が抑えられない状態になる「ギャンブル依存症」。
もはや軽度なら自分だけでも改善できる例はあるようですが、重症になると一人の力ではどうにもなりません。
家族の協力も必要になってきますし、病院など専門機関を利用することになるでしょう。
主な症状には次のようなものが挙げられます↓
- ギャンブルのことばかり考えている
- ギャンブルばかりしている
- 勝った時のことはしっかり覚えている
- ギャンブルしていないと落ち着かない
- 賭け金が多くなっていく
- 損をギャンブルで取り戻そうとする
- 借金をする
- 借金を隠すためウソをつく
- 借金返済のために窃盗など犯罪を犯す
- 最悪の場合自殺してしまう
主にお金の問題ですね。
でも、お金を持っているから大丈夫とはならないでしょう。
結局ある分使ってしまう可能性が高いのがこの症状の怖いところ。
口座残高が100万あっても1億あっても同じようにいずれ借金生活になっていく可能性が高いでしょう。
早期治療が望まれますが、ギャンブル依存症になる人はたいてい隠していることが多いので周囲が気づくのも難しいでしょう。
かなりやっかいな病気ですね。
そこでまずギャンブル依存症かどうかの診断基準について見ていきましょう。
ギャンブル依存症かどうかの診断方法
※一般財団法人 ギャンブル依存症予防回復支援センターより
- ギャンブルでの負けを取り戻そうとする(負け追い)
- より強い興奮を味わうためにギャンブルする
- イライラ・ゆううつ感を解消するためにギャンブルする
- ギャンブルしていると落ち着く
- ギャンブルが頭から離れない
- 上手に加減できない
- ギャンブル関連の嘘をつく
- 大切な人との関係が悪化している
- ギャンブル関連で借金をしている
米国精神医学会作成のDSM5(精神障害診断基準集)では1~9のうち4つ以上該当すれば「ギャンブル障害」と診断されます。
とくに1番目の「負けを取り戻す(負け追い)」は重要とされています。
そんなギャンブル依存症はどうやって治療すればいいのか。
症状によってかわりますが、共通するのは専門機関に相談することですね。
インターネットで調べれば治療法を解説しているサイトも見かけますが、上辺だけ実行してみてもうまくいくとは限りません。
自分たちだけで解決しようとしないことも大事なポイントだと思います。
まずは相談ですね。
そこでギャンブル依存症の治療について相談できる専門機関にはどんなものがあるのか?を見ていきましょう。
ギャンブル依存症の治療法について
ギャンブル依存症問題の相談はどこにすればいい?
主なギャンブル依存症相談機関
大きく分けて5つあります。
(厚生労働省のホームページ参照)
- 保健所
- 精神保健福祉センター
- 依存症相談拠点機関
- 自助グループ・回復支援施設
- 家族会・家族の自助グループ
保健所
電話や保健所での面談、または保健師による家庭への訪問で相談できます。
対応は医師や保健師、精神保健福祉士など専門の方が対応してくれます。
依存症がかなり深刻なら面談や家庭訪問がおすすめですが、まずは電話で相談して決めましょう。
地元の保健所は厚生労働省HPで調べられます。
精神保健福祉センター(こころの健康センター)
各都道府県に1か所、政令指定都市にも一か所設置されている施設です。
電話や面談で相談可能。
医師、看護師、保健師、精神保健福祉士、臨床心理技術者、作業療法士といった専門職の方が対応してくれます。
センターによっては家族会の運営やデイケアを行っているところも。
サービス内容がセンターごとに異なるため、一度電話で問い合わせてみてください。
依存症相談拠点機関
上で紹介した精神保健福祉センターや対応している医療機関のことです。
病院は「ギャンブル依存症専門外来」があるなどより専門的な治療が可能なところがリストアップされています。
ただしその数は多くないため、公共機関の専用窓口で相談しつつ利用を検討していきましょう。
自助グループ・回復支援施設
ギャンブル依存症の患者が自分の意志で集まって活動しているグループがあります。
そういったところに相談することも可能です。
同じ症状に悩む仲間と切磋琢磨しつつ支え合うことで前向きに変化していけることでしょう。
自助グループの情報は上で紹介した保健所や精神保健福祉センターが把握しているので相談してみましょう。
家族会・家族の自助グループ
こちらはギャンブル依存症の家族がお互いを支え合うための自助グループです。
こちらも保健所や精神保健福祉センター、また地区町村役場などが活動状況を把握しているため相談してみましょう。
ギャンブル依存症専門外来のある病院について
上で紹介した依存症対策全国センターで紹介されていた専門部署のある病院は数が少ないです。
また相談だけで治療までは受け付けていない病院もあり、さらに数は減ります。
現状確認できる治療拠点は全国でわずか41か所。
都道府県に1つづつない状況です。
奈良、高知、大分、沖縄など1施設もない県もあるため、まずはリストを確認してみましょう。
このように、ギャンブル依存症対策基本法が制定されてからサポート体制は整ってきています。
借金の返済や家庭問題といった悩みと合わせて、総合的な問題解決のサポートが受けられるように法整備されているので、相談窓口が設けられ相談しやすい環境も充実してきています。
ギャンブル依存症は本人に自覚がないまま悪化の一途を辿るケースが少なくないので、家族が相談できる仕組みを作ることも大事です。
ギャンブル依存症は治療可能な病気で、早期に治療を始めれば悪化を防げますが、放置すれば深刻化するとこの法律でも明言されています。
消費生活センターや、法テラスで知られる日本司法支援センターも窓口なので、これらもギャンブル依存で困った時の相談先になります。
依存症によって自分をコントロールできない人、いま現在ギャンブルにのめり込んでいる人にはきっと助けになってくれることでしょう。
ギャンブル依存症治療は保険適用可能?
厚生労働省が2020年からギャンブル依存症への保険適用を開始しました。
よって保険適用で治療を受けられます。
ありがたいですね。
ギャンブル依存症は軽度でも侮れませんし、上で紹介した症状の判断基準で複数該当するときは早めに相談窓口を利用することをおすすめします。
ギャンブル依存症についてよくある質問
- どんな兆候がある?
- 依存症患者はどう助ければよい?
- 治療は可能?
どんな兆候がある?
賭け事をやめられない、予定以上にお金を使いこんでしまう、責任逃れするなどは兆候として見られます。
依存症患者はどう助ければよい?
専門の期間に相談しましょう。家族の協力も不可欠のため、一緒に解決に向けて行動していきましょう。
治療は可能?
可能ですが、本人しだいでもあります。重症なら周囲の人の協力も必要になるでしょう。
まとめ
2018年7月に成立した「ギャンブル依存症対策基本法」と「ギャンブル依存症治療」についてまとめました。
ギャンブル依存症対策基本法でははギャンブル依存の定義を明確にしたり、対策の目的や内容に踏み込んで盛り込んでいることがわかります。
IRカジノ誘致に合わせたものではありますが、結果として既存の公営競技やパチンコも対象になりました。
流動的な法律なので今後内容が変わっていく可能性は十分にあるものの、ひとまず方針が決められたのは良いことと言えるでしょう。
また誘致している自治体内で地元住民の反対運動も見られますが、国が法整備まで進めている以上、オープンすることは既定路線と言えます。
あとはIRカジノの運営が始まり、その時に対策の有効性が見られるか評価されたり内容が見直されていくはず。
この法案によってギャンブル依存症患者が減る、または発生しなくなるといいですね。
私も依存症にならない程度にオンラインカジノで適度に遊びたいと思います。